nomaと、四知堂の朝時間

2022年1月7日公開

くらしを楽しむことは、旬を楽しむこと。
焙じ茶のさまざまな旬を、丸八製茶場からご紹介します。
今回は、2022年1月20日発売の「焙茶noma(ノマ)」についてです。

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今季の「焙茶noma(ノマ)」は、芳ばしく穏やかな味わい。冬の朝、寒さにぎゅっと固まりがちな心と身体を、ゆっくりとほぐすひとときにおすすめです。そんな「焙茶noma(ノマ)」のある朝時間と、台湾の朝食文化について、石川県金沢市の台湾料理のお店 四知堂kanazawa(スーチータンカナザワ)のオーナー塚本美樹(つかもとよしき)さんにお話をうかがいました。

人と街が生き生きと動き出す、台湾の朝。
「焙茶noma」と、鹹豆漿。

四知堂 kanazawaをオープンする前、塚本さんが台湾を訪れていた時に印象に残ったのが、台湾の朝の風景でした。

「台湾では、朝食を家ではなく、街の屋台でとるんです。そして、そのまま職場へ行く。そのスタイルが新鮮で。四知堂kanazawaは、そんなストリートフードのカルチャーを金沢に持ち込みたいと思ってはじめたお店でもあります」。

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塚本さんが台湾で食べた屋台の朝食。真ん中の豆乳のスープは台湾の朝食に欠かせないもので、甘いもの、しょっぱいものと味付けはさまざまですが、油條(ヨーティアオ)と一緒に食べることが多いそうです。

今季の「焙茶noma」のように、朝の時間に楽しむためのものとしてご紹介いただいたのも、台湾の定番朝食メニュー、鹹豆漿(シェントウジャン)でした。黒酢を加え、ふるふるになった豆乳に干しエビなどの具が入ったもので、油条(ヨーティアオ)という揚げパンをひたしていただきます。

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台湾の屋台の定番である鹹豆漿は、お店によってさまざまなレシピがあるのだそうです。四知堂 kanazawaの鹹豆漿の豆乳は、お店が厳選したもの。塚本さんの農園で育てたパクチーが、香りをそえます。

「台湾には歴史的な背景から日本家屋が多く残っています。若い世代がそれをリノベーションして、アパレルショップにしたり、住居として利用したりしているのですが、そこに感じられるような日本と台湾の文化の融合を、鹹豆漿と今季の『焙茶noma』の組み合わせでもイメージしています」。

寒い冬の朝に、あたたかく体に染み込んでいく鹹豆漿と今季の「焙茶noma」の組み合わせは、朝の時間にどこか新しい風を運んでくれるようです。四知堂 kanazawaの鹹豆漿は、お店ではもちろん、テイクアウトやUber Eatsでもご利用いただけます。
ほっとする香りで心と身体がじんわり温もる今季の「焙茶noma」は、和食はもちろん、鹹豆漿のような台湾料理など、さまざまな味わいのメニューと合わせることができるお茶です。いつもの朝食に「焙茶noma」を添えて、心地よく一日をスタートしてみてはいかがでしょうか。

出会いが新たな出会いをつくりだす。
金沢が、また一つ豊かになる。

四知堂kanazawaの名前は、台北にあった同名のレストラン四知堂から取られています。
その出会いのきっかけは、塚本さんが経営しているアンティーク店 SKLO room accessories(スクロルームアクセサリーズ)に、台北 四知堂のオーナーが訪れたことでした。彼が購入した家具を、塚本さんが自ら台湾に届けることにしたのです。

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台湾の四知堂の店内。シンプルな内装に、大きな絵画が飾られた空間は新しさの中にもどこか落ち着きを感じさせます。

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客家(ハッカ)民族の家庭料理に由来するという台湾の四知堂の料理。

「台北の四知堂は、表に看板などがまったくなく、決して入りやすいお店ではないんです。でも、入ってみると心地いい。安心・安全な食材を使うなど、料理へのこだわりはもちろんですが、何よりホスピタリティがすばらしかった。VIPもいる空間で、子どもが走り回っていても大丈夫な雰囲気が、どこかクリエイティブで」。

その雰囲気に魅せられた塚本さんは、金沢で台湾料理店をオープンすることを決めます。
店舗は、もともと油問屋だった100年以上前の建物をリノベーション。「日本家屋で台湾料理、という自由さに、先ほどお話した台湾の日本家屋の雰囲気も重ね合わせています」。

お店の中は、大きく二つのスペースに分けられています。「入口の側のスペースは、台湾の屋台の雰囲気をイメージしています。テーブルや椅子もベニヤ板で手づくりしたもの。カジュアルに朝食や軽食を楽しめる場所です。奥は、創作料理をゆったりと楽しめるレストランにしました」。

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四知堂kanazawaの入口からすぐのところにある、屋台をイメージしたスペースは、朝8時から営業しています。剥き出しのままの床の仕上げが屋外のような雰囲気を醸し出します。

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建物の梁や中庭など、日本的な要素をいかした奥の空間。ところどころにあしらわれた写真やオブジェが異国情緒を漂わせています。

お話を聞くとその行動力に驚かされる塚本さん。
「アンティーク店をはじめたのも、20代の頃に訪れたドイツやチェコで古いものと出会ったことがきっかけでした。僕にとって、出会いは、それくらい大きなものなんです」。

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四知堂が生まれるきかっけとなったアンティーク店SKLO room accessories(スクロルームアクセサリーズ)。

ヨーロッパでの出会いが金沢に新しい場所をつくり、その場所から台北へつながり、また金沢に新しい場所が生まれる。人と人、人とものとの出会いが生み出す力の大きさは、私たちが思っているより大きいのかもしれません。

いくつもの顔を持つ塚本さんが
自然から感じる、「旬」。

アンティーク店と台湾料理のお店のオーナーである塚本さん。実は、さらにもう一つの顔を持っています。それは、農家としての顔です。

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塚本さんの農場では、古代米の一種「黒米」などめずらしい作物がつくられています。

実家が農家だった塚本さんですが、学生時代はあまり農業に興味がありませんでした。しかし、ヨーロッパから帰国後、アンティーク店の傍ら農業をはじめることにしたのです。
「長男だからやらなければ、という気持ちからです」。義務感のようにも聞こえますが、塚本さんが育てたお米や野菜は四知堂 kanazawaでも使われており、少し離れているように見えるお仕事も、複層的につながっています。

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今季の「焙茶noma」を飲みながらお話される塚本さん。

「確かに、アンティーク店から派生した空間づくりも含めて、別々のこととしてはじめたものが、少しずつまとまってきた感じはあります。まだまだどうなるかわかりせんが…」と語る塚本さん。

そんな塚本さんの朝は農作業からはじまります。午前中に作業を終え、車で30分かけて金沢へ移動し、それぞれのお店へ出る塚本さんの毎日の中には、やはりお茶があるそう。
「お茶は、いただきものも多くて、けっこう飲んでいます。焙じ茶は、自分にとって日本の原風景を感じさせる味です」。

「焙茶noma」のテーマである「旬」を感じる時について聞くと、塚本さんは「音や湿度、香りなど、視覚ではないところで感じることが多い気がします。木の割れる音、風にそよぐ葉っぱのざわめき、空気の湿度、土の香り。一つの季節の中でも細かく移り変わっていくんです」とおっしゃいました。

季節の変化を楽しみ、出会いを大切にしながら、金沢の新しい顔をどんどんつくり出している塚本さん。季節の移ろいの中で自由に「旬」を感じ、味わい、日々のくらしを楽しむひとときに寄り添う「焙茶noma」シリーズも、焙じ茶の新しい世界をつくり続けていきたいと思います。

四知堂kanazawa(スーチータンカナザワ)
https://www.tua-kanazawa.jp/
076-254-5505
石川県金沢市尾張町2-11-24

SKLO(スクロ)
http://www.sklo.jp/sklo/
076-224-6784
石川県金沢市香林坊2-12-35

*2022年2月14日、今季のnomaはご好評につき終了いたしました。ありがとうございました

焙茶noma

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