ものづくりのこと

良い食品づくりの会

2021年6月30日公開

丸八製茶場のものづくりの基本には、
「良い食品づくりの会」の考え方があります。

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日本の食の転換期に生まれた
「良い食品を作る会」

「良い食品づくりの会」の前身は、1975年に生まれた「良い食品を作る会」です。

当時は、食品の大量生産化により、昔ながらの食品のおいしさが失われつつあった時代でした。そこには工業の発達だけでなく、戦後に起こった物資の不足という背景もあったといいます。

それまで食品に使われなかった物質が使われるようになった結果、後に健康に害を与えることが判明する食品が流通していた、そんな時代でした。

「良い食品を作る会」立ち上げの中心には、食品コンサルタント 磯部晶策(いそべしょうさく)氏がいました。

『食品を見わける』(岩波新書、1977年)をはじめとした著書の中で、磯部氏は食品一つ一つの成り立ちを解説し、食品本来のおいしさと向き合い、過剰な効率化のためにおいしさだけではなく、安全性までも失われつつある状況に警鐘を鳴らしています。

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2020年の「良い食品づくりの会」のパンフレット。「良い食品を作る会」は1993年(平成5年)に解散しますが、丸八製茶場は1997年(平成9年)に同会を継承して発足した「良い食品づくりの会」にも参加します。

「良い食品を作る会」の発足から40年以上たった現在、世の中の食品をとりまく状況に問題がないとは言い切れません。しかし、会に参加している企業には、食品の本質的なおいしさを追求しようという姿勢が脈々と受け継がれています。そして、それらの企業の商品が、食にこだわりをもつ人々の間で確かな存在感を築いていることは、「良い食品を作る会」の功績といえるでしょう。

丸八製茶場と「良い食品を作る会」が出会い、
生まれた「献上加賀棒茶」。

丸八製茶場が「良い食品を作る会」に入会したのは1982年(昭和57年)。流通や消費の急激な変化の中で、商品づくりに迷いが生まれていたころでした。

五代目社長 丸谷誠一郎は、磯部氏の理論との出会いを「今は当たり前になりましたけど、衝撃的でした」と語っています。健康食品ブームの中において「身体にはいいけれど、味の悪いものは良い食品ではない」とする言葉にも、感銘を受けたといいます。

会への入会後、日本茶の本来のおいしさに向き合うために、丸八製茶場は原材料の見直しをはじめます。

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茶葉の生産者とはじめた「三郷(みさと)会」では、勉強のため全国の茶園へ赴きました。写真は、静岡県の東頭(とうべっとう)茶園を見学に訪れたときの様子です。左が五代目 丸谷誠一郎社長です。

そして、1983年(昭和58年)に全国植樹祭で石川県を訪れた昭和天皇のために開発したのが、「献上加賀棒茶」でした。

加賀で生まれた「加賀棒茶」は、チャの樹の茎の部分を焙煎したふだん使いのお茶です。丸八製茶場は、おいしさにこだわることで、「加賀棒茶」を特別な場で飲むにふさわしいものに仕立てることを目指しました。

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「献上加賀棒茶」は、商品化されると徐々にそのファンを増やし、やがて丸八製茶場を代表する商品になります。

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「献上加賀棒茶」の原料となった鹿児島のチャの樹。

「昔ながらの食品のおいしさ」と、昔ながらの加賀棒茶の原料と製法を見直した「献上加賀棒茶」。一見相反するように見えますが、根底にあるのは同じ「本質的なおいしさ」です。

「献上加賀棒茶」は、良い食品はまずおいしくなければならない、という磯部氏の考え方を真摯に実践し、生まれた商品でした。

学び続けることで、未来がつくられる。
現在進行形で、食を考える場。

現在「良い食品づくりの会」の会長を務める六代目 丸谷誠慶は「会の本質は、『より良い食品とは何か』を考え続ける場所であること」と言います。

日々技術は進化しています。それによって安全・安心に配慮しながら食のおいしさや楽しさを広げることも可能になりつつあります。一方で、今でも会の発足当初のように、生産効率化のために必ずしも安全と言い切れない添加物が使われています。

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「異なる分野の食品の会社が学び合うことで、新しい発見があることも多いんです」と語る「良い食品づくりの会」丸谷誠慶会長。

昔ながらの技術のみにこだわり新しい技術を採用しないことも、効率化のため本当に消費者にとって必要なものかを考えず新しい技術を使うことも、どちらも最善とはいえないでしょう。

何を残し、何を取り入れていくかを考え、学び続けることこそが、丸八製茶場のものづくりの根底にある「良い食品づくりの会」の精神なのです。

「良い食品づくりの会」の4条件と4原則

良い食品の4条件

1. なにより安全 添加物や食品衛生の点で安心。
2. おいしい 形状・色沢・香味・食感のすべてが「本物」。
3. 適正な価格 品質にてらして妥当な価格。
4. ごまかしがない 不当・誇張表示、過剰包装がない。

良い食品を作るための4原則

1. 良い原料 確かな素性と、安全で良質。
2. 清潔な工場 機械・設備の行き届いた手入れと清掃。
3. 優秀な技術 品質を正しく見分ける眼と、素材の特性を引出す腕。
4. 経営者の良心 儲けよりも品質を重んじる「職人の心」を持ち、地球環境に配慮する。