《季節のほうじ茶》

7月「くらさわ」

2023年7月4日公開

丸八製茶場が毎月数量限定で発売している「季節のほうじ茶」は、
さまざまな品種の茶葉を、その個性が生きる焙煎で仕上げた焙じ茶です。

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木漏れ日のような、
心地よい渋味。

7月の「季節のほうじ茶」は、「くらさわ」です。「くらさわ」は、煎茶としては渋味の代名詞のような品種といわれています。森林を思わせる爽やかでしっかりした渋味の茶葉は、摘採後に発酵させることで、甘い香りを発します。今回は、これをさらに焙煎することで、芳ばしさと華やかな香りを引き出しました。

丸八製茶場では、2022年の7月にも「くらさわ」を使った焙じ茶「ブレンド22-07」をつくっています。この時は、「くらさわ」を中心に、他の品種をブレンドしましたが、2023年は「くらさわ」のみを使用し、品種の個性を前面に出し、製造を行いました。

日本茶は、煎茶として一般的によいとされる旨味を強調した味に近づけるため、さまざまな品種をブレンドしてつくられることがあります。しかし、最近では品種の個性に注目した単一品種で、同じ茶園でつくられる「シングルオリジン」と呼ばれるお茶も脚光を浴びるようになりました。

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南国を思わせるようなフルーティな味わいは水出しで際立ちます。すっきりとした飲み口で暑くなってくる季節にぴったりです。

求める味を追求してブレンドされたお茶にも、品種の個性を引き出してつくられるお茶にも、それぞれのおいしさがあります。今回の「くらさわ」は、いくつかの茶園でつくられた茶葉をブレンドしているため、厳密には「シングルオリジン」ということはできませんが、求めるおいしさをつくり出すことができました。

「くらさわ」を飲みながら読みたい、
川と言葉のお話。

「季節のほうじ茶」をご紹介するこの記事では、その味わいから連想される本をご紹介しています。今月の本は、ジョーダン・スコットさん、シドニー・スミスさん、原田勝さんによる絵本『ぼくは川のように話す』です。

この絵本は、吃音を持つ作者自身の子ども時代の経験を描いたものです。

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ジョーダン・スコット文、シドニー・スミス絵、原田勝 訳『ぼくは川のように話す』偕成社。心を打つ物語と、水の冷たさまでも感じさせるような絵が美しい絵本です。

世界には言葉が溢れているのに、自分だけが「口のなかに音がつまっている」ように上手く話すことができない主人公にとって、言葉を使わずに父と遊ぶ川でのひとときは、心休まる時間です。しかし、話せないことへの葛藤と周囲の子どもの無邪気な残酷さが、心に大きな嵐を巻き起こすこともあります。

シドニー・スミスさんによって描かれた川は、どのページでも表情豊かです。時に石にぶつかり、時に大きく蛇行して、止まることなく流れていく水の流れ。泡立って砕ける水は、白い絵の具でキラキラと輝きます。

季節のほうじ茶「くらさわ」は、甘い香りとキレのある渋味が特徴です。丸八製茶場ではこの渋味を「葉の茂みからこぼれる日差し」のよう、と表現しました。『ぼくは川のように話す』の少年と父。その思い出の景色には、そんな日の光が差していたように感じます。後に「言葉」と向き合う詩人となる少年の物語を、ぜひ「くらさわ」と一緒に楽しんでみてはいかがでしょうか。

*「くらさわ」は2023年7月1日より発売です
*2023年7月の期間・数量限定商品です。
 限定数に達した場合は販売終了とさせていただきます