《季節の焙じ茶》

9月「香駿 ‐ こうしゅん ‐ 」

2023年9月1日公開

丸八製茶場が毎月数量限定で発売している「季節のほうじ茶」は、
さまざまな品種の茶葉を、その個性が生きる焙煎で仕上げた焙じ茶です。

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残暑の疲れた体に、パイナップルのような
甘く心地よい香り。

9月の「季節のほうじ茶」は、「香駿 ‐ こうしゅん ‐ 」です。品種「香駿」は、すっきりとしたハーブ系の香りが特徴の茶葉です。今回は、この茶葉をウーロン茶の手法で製茶し、焙じ茶に仕上げました。

不発酵茶である煎茶は、茶葉を摘み採った後すぐに蒸して熱を加えて発酵を止めますが、半発酵茶であるウーロン茶は、萎凋(いちょう)という、適切な環境で茶葉の水分を蒸散させる工程を経てつくられます。この工程により酸化発酵が促され、茶葉の中の成分が変化し、独特の香りを引き出すことができるのです。

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ウーロン茶は丸い釜で炒る「釜炒り製法」で仕上げるため、丸みを帯びたかたちをしています。パッケージを開けた時に広がる香りもお楽しみください。

お勧めは水出しです。甘くフルーティな風味がより強まり、パイナップルのような香りを楽しむことができます。ふんわりと香りで感じる甘さは残暑の疲れた体に心地よく、軽やかです。

「香駿 ‐ こうしゅん ‐ 」を飲みながら読みたい、
不思議な夏の夜のお話。

「季節のほうじ茶」をご紹介するこの記事では、その味わいから連想される本をご紹介しています。今月の本は、ペク・ヒナさんの絵本『お月さんのシャーベット』です。

『お月さんのシャーベット』では、イラストで描かれたキャラクターが、コラージュのような手法で表現された共同住宅で暮らしている様子が描かれています。暑い夜、窓から見える部屋の中では、住人達が本を読みながらソファでうつらうつらしていたり、家族で食事をしていたり。そんな中、暑さのあまり溶け出した月に気づいた住民が、落ちてきた月の雫をシャーベットにしました。

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ペク・ヒナ 作、長谷川義史 訳『お月さんのシャーベット』ブロンズ新社。窓から見える住人達の部屋は立体感があり、リアルな生活がそこにあるかのような魅力があります。

この作品の面白さは、描かれている生活や部屋の様子はリアルなのですが、物語の中で突然、月がその雫をたらいで受け止められるくらいの距離で描かれることです。その感覚は、まるで夢の中のよう。月は宇宙にあるものとさっきまで理解していたはずなのに、思わず月のシャーベットがおいしそうだと感じてしまうのは、アートのように美しい絵と言葉の力なのでしょう。

どこか幻想的な甘さで、まるで夢の中にいるような気分になる「香駿 ‐ こうしゅん ‐ 」は、月のシャーベットのように想像力を掻き立てられる焙じ茶です。この絵本の中のように、暑い夜、遠いと思っていた世界が突然ふっと近くにやってくるような、不思議なこのお茶の魅力を、ぜひ味わってみてください。

*「香駿 ‐ こうしゅん ‐ 」は2023年9月1日より発売です
*2023年9月の期間・数量限定商品です。
 限定数に達した場合は販売終了とさせていただきます