《焙煎こぼれ話》

「ほうじたて」と、プリンのカラメル

2023年10月3日公開

焙じ茶づくりの最前線である焙煎ルームでは、
社員も知らないファンタジックな出来事が毎日のように起こっています。
焙煎の最中に一瞬だけたちのぼる奇跡のような香りのお話から、
密かなこだわりまで、ごくごく個人的な焙煎士のこぼれ話をお届けします。

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焙煎ルームからこんにちは!焙煎士の長崎です。

焙煎の作業は、試飲をしながら行います。茶葉の香りや、浸出したお茶の味を確認するのはもちろんですが、茶葉そのものを食べて味を確認することも。

丸八製茶場の代表的な商品といえば、一番摘みの茎を浅く焙じあげた「献上加賀棒茶」ですが、加賀棒茶 「ほうじたて」は一番摘みと二番摘みがブレンドされた、茎の焙じ茶です。

この「ほうじたて」の焙煎中、ふっくらと炒り上がった茎の部分を一口かじって、食べて味をみる作業があります。このとき、ポキっとかじった茎が、「プリンのカラメル」のような、ほろっとしたわずかな苦みがありながらも、甘くまったりとしたクリーミーな味わいだと、その茶葉は熱湯でお茶としていれたときにおいしく感じる、という説を個人的に持っています。

焙じ茶の香りには、アーモンドのような香気を持つ「ピラジン類」という成分が影響しているのですが、茎の焙じ茶には葉の焙じ茶に比べて1.5倍の「ピラジン類」が含まれているそうです。また、焙煎時にはメイラード反応と呼ばれる化学反応が起こっており、これによって生まれるメラノイジンは、醤油や味噌の香りや色素の成分なのだとか。カラメルと、アーモンドと醤油。ちょっと近い!と個人的には思うのですが、みなさんはどう思われますか?

ちなみに、茶葉を食べることには、茎のふくらみ具合の確認という意味もあります。
お茶が食用だった時代もあるのですが、現代でも好んでお茶の「茎」の部分を食べる方もいらっしゃると聞いています。興味を持たれた方は、ぜひお手元の茶葉をかじってみてください。

ほうじたて

ほうじたて