茶園 三畝(さんぽ)日記

11年前のお話。

2025年6月13日公開

丸八製茶場の焙じ茶は、全国の生産者のかたが
大切に大切につくったお茶からできています。
茶園「三畝(さんぽ)」は、丸八製茶場がお茶づくりへの
理解を深めるためにつくった勉強用の茶園。
動橋(いぶりはし)の自然と、スタッフの奮闘をお届けします。

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2025年4月19日に茶園「三畝」は12年目に入りました。めでたいです!
今回は11年前、茶園「三畝」が立ち上がった当初の思い出話をできればと思います。

茶園「三畝」は、チャの樹を育てることで、丸八製茶場の社員の日本茶への理解を深め、茶葉をつくられている生産者との距離を縮めることを目的に開かれました。

石川県加賀市には江戸時代から続く茶畑がありますが、丸八製茶場のお茶の原料は、選りすぐりの味わいを求め、全国の生産者から取り寄せています。毎日お茶に親しんでいる我々ですが、栽培となると、少し距離を感じてしまう状況があったのも事実。そこで一念発起してはじまったのが勉強用の茶園「三畝」のプロジェクトです。

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チャの樹を植樹する前のビニールハウス内。まっさらなところから茶園がはじまったことがわかる写真ですね!

茶園「三畝」の「畝」は、上の写真の、土の盛り上がった部分のこと。土を盛って周囲よりも一段高くした、作物を育てるためのベッドです。土の水はけと通気性を向上し、根の張りをよくする効果があると言われています。しかし、写真に写っている「畝」は「二畝」では…?と思われたあなた。鋭いです。茶園の名前は、訳あって「三畝」なのです。

まずは少しだけ難しいお話。日本に本格的なお茶の文化をもたらした栄西は、お茶と一緒に禅宗(臨済宗)という仏教を日本に伝えた高僧です。禅宗はその名の通り、座禅を組むことを大切にしているのですが、その大敵は眠気。お茶を広めた背景には、抹茶に含まれるカフェインによって眠気を払うという効果を狙ったところもあったとか、なかったとか。

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眠気をこらえて座禅を組むことを大切にした栄西さん。精神が鍛えられそうです。

そして禅宗の教えがまとめられた「禅語」の中にあるのが、「山僧活計茶三畝(さんそうがかっけいちゃさんぽ)」という言葉。これは、「僧侶は小さな畑があれば生涯くらしていける」ということを表しています。つまり「三畝」には、「質素な畑」「小さい畑」という意味合いがあるのだそうです。

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いざ植樹!チャの樹は種から育てることは少なく、苗を植えていくのが一般的です。

「三畝」に込められたもう一つの意味は、ごまかしのない、おいしいと評価いただけるお茶を求めて、土づくり、人づくりからはじめたお茶の勉強会「三郷会(みさと)」に通じます。発足時に参加した3つの畑(鹿児島県・静岡県・石川県加賀市)を意味し、全国のパートナーから教えを請う、という気持ちです。

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一本一本丁寧に植樹されていくチャの樹たち。現在の姿を思うと、その成長に感謝の念を覚えます。

植樹には社員も参加しました。「苗木を土に植える」というと、簡単なようですが、それぞれの苗木の間隔を考えながら肥料を均等にまき、畝を掘り起こして苗木を植えるという作業はなかなかに難しく、この時点ですでに生産者の方の大変さを感じたことを思い出します。

現在の茶園の様子は、前回の茶園「三畝」日記をご覧になってください。長崎も初心に戻り、明日もよりよい焙じ茶づくりのために励もうと思います。

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11って棒茶みたいですね!

茶園スタッフ長崎。本業は製造課スタッフ。お茶とマラソンをこよなく愛する33歳。