焙煎ルームからこんにちは！焙煎士 長崎です。
突然ですがチョコレートのお話です。
「お茶屋さんでチョコレートのお話？」と思われたみなさん。意外に感じられましたか？

実は、お茶はチョコレートと、相性がいいんです。
長崎は無類のお茶好きです。「チョコレートといえばワインやコーヒー！」という方への、長崎の「実はお茶とチョコレートのペアリングも意外とアリですよ」というご提案、ぜひお聞きください。

ビターなチョコレートには
プーアール茶

プーアール茶は大きく2種類あります。摘み採った後に熱を加えて発酵を止める「生茶」と、「生茶」を微生物によって発酵させた「熟茶」です。一般的に日本で多くみられるプーアール茶は「熟茶」。煎茶は全く発酵をさせないお茶、紅茶は空気にさらすことで酸化発酵させたお茶なので、発酵に微生物を使うプーアール茶の「熟茶」は、ちょっと異色の存在です。特長に、ほんのりとした土のような香りとふくよかで深い甘味があげられます。

ふくよかで深い味わいといえば、ビターチョコレート。最近はコンビニでもポリフェノールが豊富に含まれる高カカオのチョコが販売されていて、昔より身近な存在になった気がします。プーアール茶を飲む機会には、ぜひビターチョコレートと一緒にどうぞ。

期間限定の商品ですが、丸八製茶場では2024年2月に発売していた焙じ茶「くらさわ」の、しっかりとした重みを感じる、スモーキーで力強さのある味わいがプーアール茶の「熟茶」に似ているのでビターチョコレートに合いそうです。

「くらさわ」
https://kagaboucha.com/cat1/135

パフ入りのチョコレートには
玄米茶

「パフ」とは何かご存じでしょうか？圧力をかけ、加工して膨らませた穀物のことです。「麦チョコ」には、パフ化してサクサクになった麦が入っていますよね。そんな穀物の食感が楽しめるチョコレートにぴったりなのは、玄米茶です。

丸八製茶場の「加賀玄米茶」は、煎茶ベース。それに、石川県産のもち米を焙煎し加えています。煎茶特有の渋味が少なく、もち米の芳ばしさが生きた玄米茶と、ほんのり芳ばしいチョコレートの風味の相性は抜群です。

昨年の1月中旬に発売した「焙茶noma（ノマ）」も穀物系の風味が感じられる味わいでした。期間限定の商品はその年によって茶葉やブレンドの配合が変わるのですが、次回、穀物系の味わいを感じるような品種の焙じ茶が発売されたらぜひ試してみてください。

どんなチョコレートにも合う
アールグレイ

アールグレイは、ベルガモットという柑橘類でフレーバーをつけた紅茶です。ダージリン、アッサム、セイロンなど、紅茶は生産地の名前が付けられていることが多いのですが、アールグレイはこのフレーバーが生み出されたきっかけとなった人物「グレイ伯爵」の名前がつけられているのだそうです。

チョコレートと一緒に食べると、柑橘の香りがふんわりと漂い、すっきり爽やかな後味が楽しめます。相性がよい証拠に、アールグレイを使ったチョコレートというものもあるようですよ！

丸八製茶場では、「焙茶noma」シリーズの一つとして、紅茶向けの品種を祖先に持つ印雑品種の焙じ茶があります。このお茶は、萎凋（いちょう）という工程を加えることにより、フレーバーなしで華やかな花のような風味がします。これがどんなチョコレートの味にも相性よく、麗しい優雅な余韻を演出します。こちらも期間限定のものですが、年に1度は発売される人気商品なので、ぜひチェックしてみてください。

「焙茶noma」
https://kagaboucha.com/cat1/125

ナッツ入りのチョコレートに合う
焙じ茶

ここでも焙じ茶が登場します。どうしてナッツ入りのチョコレートと焙じ茶の相性がいいのか。秘密は製造工程の「焙煎」にあります。

ナッツは、基本的に香りや食感を出すために焙煎を行ってからチョコレートと合わせます。このローストした香りが、芳ばしい焙じ茶とぴったりなのです。食べ物と飲み物の組み合わせは、双方に同じ系統のものがあるとうまくいく、というお話もあります。

丸八製茶場の焙じ茶では、焙煎香の強い「深炒り焙茶 BOTTO!」が、ほろ苦さと芳ばしさという2点においてナッツ入りのチョコレートとベストマッチング。上品で大人な組み合わせです。他にも、「献上加賀棒茶」や「ほうじたて」などの茎の焙じ茶が持つ豊かな芳ばしさと旨味は、ナッツの燻製香と相性がよく、贅沢な味のハーモニーを感じ取れるかと思います。


いかがでしたでしょうか？
秋らしい涼やかな風が吹くようになりました。スイーツの美味しい季節です。お茶とチョコレートの組み合わせ、ぜひ試してみてください！