《季節のほうじ茶》

2月「くらさわ」

2024年2月1日公開

丸八製茶場が毎月数量限定で発売している「季節のほうじ茶」は、
さまざまな品種の茶葉を、その個性が生きる焙煎で仕上げた焙じ茶です。

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薪火のような
スモーキーさと熟成感。

2月の「季節のほうじ茶」は、「くらさわ」です。「くらさわ」は、日本の代表的な煎茶の品種「やぶきた」を母に持つ、渋味が強い品種のひとつで、どのような製法で仕上げるのかによって、味わいの印象が変わります。煎茶の製法で仕上げたものは、心地よい渋味を楽しむことができ、和紅茶や烏龍茶の製法では、香りや味わいに深みが生まれます。今回は、台湾で烏龍茶の製法を学んだ茶師 渡邉拓哉(木花茶寮)さんが烏龍茶として仕上げた「くらさわ」を焙煎し、焙じ茶に仕上げました。

渡邉さんは、日本のお茶づくりとは大きく異なる台湾の製法で茶葉を仕上げます。その工程の中には、台湾製の機器を使った長時間、かつ数回にわたる「火入れ」があります。この工程により、香りや甘味、まろやかで深みのある味わいが生まれるのだそうです。

渡邉さんからいただいた原料に、丸八製茶場の焙煎機でさらに焙煎を加え、味わいを深め、丸みを持たせた今回の「くらさわ」。しっかりとした重みを感じる、スモーキーで力強さのある味わいとなりました。

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深い滋味と余韻のある烏龍茶をつくるために、「くらさわ」の新芽ではなく熟した葉を使用。深い色合いの茶葉は、その味わいを表しているようです。

寒さが厳しい季節。今回の「くらさわ」は、温かくいれて楽しんでいただきたい焙じ茶です。深くスモーキーな味わいは、薪火を思わせます。どこか懐かしさを感じる、温かな味わいをお楽しみください。飲み終わった後には、空になった湯のみにそっと鼻を近づけると、黒糖のような甘い香りがします。これは「聞香(もんこう)」という台湾茶ならではの楽しみ方。ぜひ試してみてください。

「くらさわ」と楽しみたい、
美しい孤独な旅の物語。

「季節のほうじ茶」をご紹介するこの記事では、その味わいから連想される本をご紹介しています。今月の本は、荻田泰永(おぎたやすなが)さん 文、井上奈奈さん 絵の『PIHOTEK(ピヒュッティ)北極を風と歩く』です。

荻田さんは冒険家です。2000年に初の海外旅行で北極を訪れてから、これまでに17回の北極行を経験されています。『PIHOTEK(ピヒュッティ)北極を風と歩く』は、その旅を描いた絵本です。

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荻田泰永 文、井上奈奈 絵『PIHOTEK(ピヒュッティ)北極を風と歩く』講談社。「PIHOTEK(ピヒュッティ)」は、友人のイヌイットからもらった荻田さんの名前なのだそうです。

北極の氷の上を徒歩で旅する主人公。氷の山に囲まれ、周りに広がるのは一面の白い世界。ただ一人、歩く意味すら見失ってしまいそうな孤独の中で、ふと現れる野生のホッキョクグマやジャコウウシの存在だけが生の気配を感じさせます。夜にテントで眠ると、自分も氷も生き物も、すべてが溶け合って風となり、音楽となる不思議な夢の中に誘い出されていきます。

渡邉さんの烏龍茶の作業は、茶畑とその麓につくられた工場で、時に昼夜を問わず行われます。おいしいお茶をつくるために日々自然と向き合い、たくさんの手間と時間をかけて茶葉と対話するその姿は、お茶の世界の冒険家のようにも思えます。日本の茶葉と台湾の製法。渡邉さんの旅の中で溶け合ったふたつの文化は、どんな味と香りを生み出すのでしょうか。ぜひ「くらさわ」で、焙じ茶のまだ見ぬ世界に、出かけてみてください。

*「くらさわ」は2024年2月1日より発売です
*2024年2月の期間・数量限定商品です。
 限定数に達した場合は販売終了とさせていただきます