nomaと、3つのマリアージュ。
2024年11月8日公開
くらしを楽しむことは、旬を楽しむこと。
焙じ茶のさまざまな旬を、丸八製茶場からご紹介します。
今回は、2024年8月24日発売の「焙茶noma(ノマ)」についてです。
「焙茶noma」と響き合う、
旬の味覚
木々の色と共に街の風景の色も深まり、温められた室内の空気にほっとする日々がやってきました。出かけると、店頭に並ぶ豊かな旬の食材に、目移りしてしまう、そんな季節です。
今回は「焙茶noma」をワインのように食べ物と組み合わせる「マリアージュ」をご提案します。ワインの世界では、ワインと食べ物との絶妙な組み合わせを一対のカップルに見立て「マリアージュ(結婚)」と呼びます。
2024年8月24日に発売された「焙茶noma」は、インド紅茶向けの種子を祖先に持つ「藤かおり(藤枝かおり)」を使用。摘み採った後に空気にさらし、発酵させて香りを引き出す萎凋(いちょう)という工程を経た茶葉は、甘く豊かな芳香を持ちます。その茶葉を原料とし、焙煎した「焙茶noma」の香りは「ジャスミンのよう」とも表現されます。
今回マリアージュを提案いただいたのは、ソムリエの資格を持つ、料理研究家の伊藤くみさん。「焙茶noma」シリーズとして生まれ変わる前の「印雑焙茶マリコロード」の時代から、この焙じ茶に注目されていました。「紅茶と焙じ茶の間のような華やかな香気が気に入っていました」という伊藤さんは、「焙茶noma」を自宅でもよく飲まれているそうです。
「今回、あらためて『焙茶noma』を試飲したのですが、温かいお茶では甘やかな余韻の長さに驚きました。その余韻の中に、清涼感や草のニュアンスも感じました。また、水出し冷茶の場合は甘さは控えめになりますが、まろやかで凍頂烏龍茶のような余韻を感じます」。
今季の「焙茶noma」について、ワインのようにテイスティングをされた伊藤さん。伊藤さんがワインと料理とのマリアージュを考えるときに使われている「同調」、「対比」、「補完」の3つの考え方に沿って、「焙茶noma」と料理とのマリアージュをご提案いただきました。
ナッツのような風味の
ハードチーズと「焙茶noma」で、ティータイム。
味の中の同じような要素を見つけ、組み合わせることを伊藤さんは「同調」と表現します。「同調」の例としてわかりやすいのは、コーヒーとチョコレート。どちらも苦味があり、それが響き合うことで、それぞれを別に味わうよりも、食べるおいしさや楽しさが広がります。
「焙茶noma」と「同調」の組み合わせとして伊藤さんが提案するのは、「コンテ」というハードチーズ。フルーティーで華やかな香りを特長とする「焙茶noma」ですが、伊藤さんは「香りの中に清涼感と、高原の草花のような甘やかさの余韻を感じました」と、さらに細かな分析をしてくださいました。
「『コンテ』のようなハードチーズは、主に山脈地帯でつくられています。その土壌、気候、牛が食べる草や花の種類など、いろいろな要素がチーズの味になっていく。特にハード系のチーズは水分が抜けてアミノ酸が凝縮されていくので、しっかりした味になります。そのときに、ナッツのような、ほんのりとした芳ばしさや、ハーブのような青っぽい香りが生まれるんです」
「焙茶noma」の焙煎香と、スパイスのような深みある清涼感は、チーズの香りと共鳴し、まるで深い森の中にいるような心地にさせてくれます。日常の中でほっと一息つきたい、そんなティータイムにお勧めしたいマリアージュです。
ブリの中華風カルパッチョと
水出しの「焙茶noma」で、ディナータイム。
「ジューシーな唐揚げとスパークリングワインの組み合わせは、食べた後をスッキリとさせて、また次の一口が進む。このような効果を狙ったペアリングを、私は『対比』といっています」。
次の提案は、「ブリの中華風カルパッチョ」。脂の乗ったブリに、豆板醤を加えたソースと香味野菜をのせました。「香味野菜がとがった味にならないように加熱するのですが、ご家庭でもつくりやすいように、電子レンジを使うレシピにしました」。
組み合わせたいのは、水出しの「焙茶noma」です。豆板醤のピリッとした辛さと香味野菜の香りをまとったブリを味わったあと、芳ばしく香り高い焙じ茶で、口の中をさっぱりとリセット。また、キュウリや長ネギ、ショウガ、大葉などの和の香味野菜と「焙茶noma」の香りが混じり合って生まれる新たな味わいにも、注目してみてください。
ボリュームたっぷりのカルパッチョは、ディナータイムにどうぞ。エキゾチックなソースと爽やかな香味野菜の風味が、「焙茶noma」の多様な要素と響き合い、新しい驚きと発見のある食卓にしてくれそうです。
ブリの中華風カルパッチョ レシピ
所要時間目安:20分程度
材料(2人分):
ブリ(ワラサ、カンパチ) 1/2冊(100g)
塩 小さじ1/4
キュウリ 1本
<ピリ辛ネギ油ソース>
A.長ネギ(白部分) 5㎝
A.ショウガ 1片(6g)
A.ニンニク 1/2片
A.砂糖 小さじ1/2
A.しょうゆ 小さじ1
豆板醤 小さじ1/4
ごま油 大さじ1
<トッピング>
長ネギ(白い部分) 5cm
大葉 5枚
アーモンド 3粒
1)キュウリは4㎝の長さの細せん切りにして、器に盛ります。ブリは5㎜の厚さのそぎ切りにして、キュウリの上に並べて塩をふり、冷蔵庫で10分冷やします
2)Aの長ネギ、ショウガ、ニンニクはみじん切りにします
3)トッピングの長ネギは繊維に沿った細切りにして、氷水に放します。大葉も細めの千切りにして同じ水に放し、5分ほどでザルにとり、水気を取ります。アーモンドは粗みじん切りにします
4)Aの材料をすべて合わせてラップをかけ、600Wの電子レンジに30秒かけます。ここに豆板醤とごま油を加え、ソースをつくります
5)1)の上に4)のソースをかけ、長ネギ、大葉をのせ、アーモンドをふりかけます
濃厚なフルーツグラタンと
温かい「焙茶noma」で、デザートタイム。
フルーツのグラタンと聞いて、どんなものを想像されるでしょうか?フランス語の「グラタン(Le gratin)」には、「焦げ目をつける」という意味があり、それが転じて料理の表面に焦げ目をつける料理を「グラタン」と呼ぶようになったのだそうです。今回はチーズもマカロニもホワイトソースも使わない、甘くて温かいグラタンのご提案です。
つくり方は意外にシンプル。季節のフルーツを揃えたら、ボウルに4つの材料を入れて温めながら混ぜ「サバイヨンソース」をつくります。後はフルーツと合わせてオーブンにお任せできる手軽さが嬉しいメニューです。
「『補完』という考え方のメニューです。華やかな香りの『焙茶noma』に、華やかな香りのフルーツを焼いて組み合わせる。さらに『焙茶noma』の濃厚な味わいに、サバイヨンソースの濃厚さを組み合わせる。それぞれの相乗効果で、新しいおいしさが生まれます」
フルーツグラタン レシピ
所要時間目安:20分程度
材料(直径約12cmの耐熱容器4個分):
<サバイヨンソース>
卵黄 2個分
グラニュー糖 大さじ2
生クリーム 100mL
ブランデー 大さじ1
<季節のフルーツ>
プラム 1個
ブドウ(ピオーネ、デラウェアなど) 適量
イチジク 2個
0)オーブンを230℃に予熱しておきます
1)ボウルに卵黄を入れて、湯せんにかけながらグラニュー糖を加え、泡立器(ハンドミキサーを推奨)でかき混ぜます。白くもったりとしたマヨネーズ状になり、筋が残るまで泡立てます
2)1)に生クリームとブランデーを加えて混ぜます
3)プラムはくし切り、イチジクは半分に切ります
4)耐熱容器に3)のフルーツを入れ、2)のサバイヨンソースを流し入れて、230℃のオーブンで12分焼きます
【ポイント】
・サバイヨンソースは、ねっとりとマヨネーズのように筋が残るまで3~4分かけて泡立ててください(この状態を経ていないと、膨らまなくなります)。また、半量で作ると卵黄の量が少なく乳化しにくくなってしまうので、レシピ通りの分量でつくるのがポイントです
・ソースの量は高さ2㎝程度で焼くのが適切なため、平たい形状の耐熱容器がお勧めです
・季節に応じて、別のフルーツにアレンジできます。イチゴ、キウイ、金柑、ベリー類など、酸味のあるものがお勧めです
・冷めたときは、オーブンまたは電子レンジで温め直していただくと、おいしく召し上がれます
甘く温かなフルーツのグラタンは、肌寒い季節のデザートにぴったり。華やかさ×華やかさの相乗効果は、食後の会話も弾ませてくれそうです。
いかがでしたでしょうか。毎年この季節に発売される「焙茶noma」は、丸八製茶場の焙じ茶の中でもファンが多いお茶です。そんなファンの一人である伊藤さん。「ワインを表現するときに『複雑』という言葉を使います。これは、多様な要素で構成されたワインは奥深く、複合的で、魅力的な味わいであるという表現なんです。『焙茶noma』にも、そんな複雑な魅力を感じます」という言葉をいただきました。
インド紅茶向けの種子を改良し、生まれた「焙茶noma」の茶葉、「藤かおり(藤枝かおり)」。その来歴からはさまざまなロマンがかき立てられます。フルーティーで華やかな香り、紅茶のようなニュアンスを持ちながら、焙じ茶らしい魅力もある。これまでご紹介してきたそんな言葉におさまらないこの焙じ茶の魅力を、伊藤さんのレシピで体験してみませんか。