焙じ茶とカフェイン

2022年3月23日公開

日本のお茶の中でも意外と知られていない焙じ茶について、
つくり方から楽しみ方まで、お伝えしていきます。

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焙じ茶と
カフェイン。

コーヒーや紅茶など、カフェインが含まれる飲み物を飲む機会が増え、カフェインの取りすぎを気にされる方が多くなりました。煎茶にカフェインが含まれていることは知られていますが、焙じ茶にはどのくらいのカフェインが含まれているのでしょうか。さまざまな飲み物と焙じ茶のカフェインの濃度を比べてみました。

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同じ焙じ茶でも、一般的な葉の焙じ茶と、茎を使った「献上加賀棒茶」では、カフェインの濃度に違いがあります。(データ提供:日本食品標準成分表 2015年版(七訂)/「献上加賀棒茶」のみ石川県工業試験場2016年)

同じチャの樹からつくられる日本茶ですが、お茶によって摘み取る時期や部位が異なるため、カフェインの濃度にも違いがあります。カフェインは成長した芽よりも新芽に多く含まれるため、若い芽からつくられる玉露や抹茶はカフェイン濃度が高くなります。中でも玉露は茶葉に対して少ない量のお湯で凝縮された旨味を味わうお茶のため、100mlあたりのカフェイン濃度は最も高くなります。

一般的な焙じ茶のカフェインの濃度は、玉露・コーヒー・紅茶よりは低く、煎茶・ウーロン茶と同程度の20mg /100mlです。丸八製茶場の「献上加賀棒茶」のカフェイン濃度は16㎎/100ml。一般的な焙じ茶に比べて低いのは、「献上加賀棒茶」の主な原料であるチャの茎の部分が、葉に比べてカフェインが少ないためと思われます。

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「献上加賀棒茶」の焙煎の様子。カフェインは熱に弱く、焙煎することで気化することもあるようです。「献上加賀棒茶」は浅く焙煎していますが、茎を使用しているためカフェインの濃度は低くなります。

お茶のいれ方でも変わる
カフェインの濃度。

では、お茶のいれ方でカフェインの濃度は変わるのでしょうか。
丸八製茶場の「献上加賀棒茶」を2通りのいれ方でいれ、比べてみました。

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熱湯でいれたお茶と水出しのお茶は、味わいにも、カフェインの濃度にも違いが出ます。(データ提供:石川県工業試験場2016年)

結果は、熱湯でいれたものよりも、水出しでいれたものの方が100mlあたりのカフェイン濃度が低いという結果になりました。
実は、これにはからくりがあります。丸八製茶場の「おいしいいれ方(2016年調査当時)」のレシピは、水出しが茶9gに対し冷水1000ml(2022年現在は茶6gに対し冷水600mlをおすすめしています)、熱湯でいれる場合茶6gに対し熱湯260mlと、茶葉に対する水の量に違いがあるのです。また、カフェインは温度が高いと容易に溶け出しやすく、低いと溶けにくいという傾向もあります。
いずれにしても、同じ量を飲むのであれば、熱湯でいれたものより水出しでいれたものの方が、カフェインは少ないといえます。

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カフェインはお茶の「苦味」に関連する成分でもあります。水出しの献上加賀棒茶は、低温でじっくりと抽出するため低カフェインで苦味が少なく、すっきりとした味わいになります。

上手に利用したい
カフェインの効能。

カフェインには、もちろん効能もあります。よく知られているものは眠気を改善する中枢神経興奮作用ですが、他にもさまざまな効能があるのです。

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カフェインは適切な量を摂取することで、効能を期待することができます。

さらに、カフェインには中性脂肪を分解してエネルギーを供給する効能もあるため、運動する前に取るのも飲むのもお勧めです。

過剰に摂取した場合には、健康被害をもたらすことがあるカフェインですが、成人で一日当たり200~300mg程度(4㎎/㎏体重)までなら身体に悪影響は見られないといわれています。乳児・妊婦・授乳中の方や肝機能障害を持つ方は、摂取量をその半分ほどにとどめておくほうがよいとされているため、お茶を飲むときには水出しでいれるなど、カフェインを減らす工夫をしてもよいかもしれません。

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お茶にはポリフェノール、テアニンやグルタミン酸などのアミノ酸が多く含まれています。それらの作用で、カフェインが弱められる場合もあるのだとか。

飲み物に含まれるカフェインは、おいしさの一部にもなるものであり、うまく付き合えば健康の味方にすることもできます。

今回、焙じ茶をはじめとする日本茶は、茶葉の選び方やいれ方でカフェインが調整しやすいことがわかりました。カフェインを気にされる方もそうではない方も、体調やタイミングに合わせてお茶の時間を楽しんでください。