おいしさを保つ保存方法

2021年10月8日公開

日本のお茶の中でも意外と知られていない焙じ茶について、
つくり方から楽しみ方まで、お伝えしていきます。

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保存の方法で変わる
お茶のおいしさ。

お茶には賞味期限があることをご存じですか?

「乾物と同じで、お茶は長持ちするのでは」と思われている方も多いのですが、実は見た目は乾いているように見えるお茶には、微量の水分が含まれています。そのため、保存の仕方によってお茶の品質は変化していきます。

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緑茶の含水量(がんすいりょう)は2~3 %といわれています。 焙じ茶の含水量は緑茶より低いのですが、どちらの場合も含水量に影響を与えない保存の方法が大切です。

一般的なお茶の賞味期限は、未開封で半年から1年といわれています。毎日飲むお茶はもちろん、長期保存をされる場合にも、お茶本来のおいしさを楽しむために、開封後はできるだけ早めに飲み切るようにしましょう。

おいしい状態で味わうにはひと工夫が必要な「お茶」。お勧めの保存方法や味の変化についてお伝えします。

「温度」や「光」にも影響される
お茶のコンディション。

一度開封したお茶は、煎茶も焙じ茶も、時間とともに劣化していきます。要因は「湿気」「温度」「酸素」「光」「におい」。

「湿気」のある場所では茶葉が水分を吸収し、傷んでしまいます。また、高い「温度」や「酸素」と触れ合うと、酸化した味わいになってしまいます。「光」を受けると茶葉の色が変色し、美しい水色を楽しむことができませんし、他の食品などの「におい」が移ってしまうのも避けたいところです。

そのお茶の本来の味と香りを楽しむためには、開封後には密閉保存をし、早めに飲み切る工夫が欠かせません。ご自宅で開封したお茶を保存するときは「湿気」「温度」「酸素」「光」「におい」から遠ざけ、お茶のおいしい状態を保つようにしてください。

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開封したお茶の袋は、空気が入らないように密閉します。 さらに、その袋は光を通さない素材の茶筒や保存容器に入れましょう。 保存容器は、直射日光を避け、湿気のない冷暗所に置いておくのがお勧めです。

お茶の種類で異なる
長期保存のコツ。

では、「たくさんのお茶をいただいてしまった」ときなど、未開封のお茶はどのように保存したらよいでしょうか。

煎茶や抹茶の場合は、「湿気」「温度」「酸素」「光」「におい」の影響を受けない冷凍での保存がおすすめです。ただし、1つ注意が必要です。冷凍したものをすぐに開封してしまうと、外気との温度差で「結露」が起き、茶葉を傷める原因になります。冷凍は変色やにおいの吸着は少ないのですが、「結露」が起きやすいので、しっかりと常温に戻してから開封しましょう。

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煎茶や抹茶は冷凍できますが、「冷凍」と「常温」を何度も繰り返すと、お茶の劣化につながります。 使い切れる分量に小分けにし、冷凍しましょう。

焙じ茶の場合は、密閉した容器に入れて常温で保存しましょう。芳ばしい香りを楽しむ焙じ茶は、「湿気」「温度」「酸素」「光」「におい」の中でも特に「酸素」「におい」に注意が必要です。冷凍や冷蔵はせず、常温で早めに飲み切ることで、おいしい状態でいつも楽しむことが出来ます。

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焙煎によって煎茶より水分が少なくなる焙じ茶は、常温で保存できますが、香りが移りやすいので、 コーヒーなど香りの強いものの近くでは保存しないようにしましょう。

丸八製茶場ならではの
賞味期限設定。

実は、丸八製茶場の焙じ茶の賞味期限は「焙煎した日から90日間」。一般的な煎茶や焙じ茶と比べると、とても短く、驚かれるかもしれません。

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丸八製茶場の「献上加賀棒茶」のパッケージ。 賞味期限や保存方法は未開封でおいしく飲んでいただける目安です。

丸八製茶場では、製造日から時間がたった商品について、社内で官能評価を行ってきました。官能評価とは、人間の感覚(視覚・味覚・嗅覚・触覚など)を使って、お茶を評価するもの。お茶の味は、日々変化していきます。例えば、焙煎後1か月の商品の評価を行った場合でも「甘みや芳ばしさはしっかり出ている」という意見もある一方で、「香りが少し弱い」などの厳しい意見が出ることもあります。そんな厳しい官能検査を経て、一定の品質をお約束できる期間として、この短い賞味期限は設定されています。

焙じ茶の一番の特徴である香り、またその味わいのために、丸八製茶場の焙煎士は毎日、気温や湿度を見ながら火加減を調節しています。同じように、他のさまざまなお茶にも、生産者の方や製茶に関わった方のこだわりがつまっているはずです。

ぜひ、お茶をよい状態で楽しんでいただくために、賞味期限に気をつけ、保存方法にもこだわってみてください。