スタッフコラム
《富山ところどころ》
杉沢の沢スギ
2022年5月4日公開
丸八製茶場のスタッフが、街や町の見どころをご紹介いたします。
今回は富山 syn(シン)スタッフより、「杉沢の沢スギ」のご紹介です。
自然が豊かな富山県には、たくさんの名所があります。わたしのお勧めは、幻想的な雰囲気が漂う「杉沢の沢スギ」です。
富山駅からあいの風とやま鉄道で約40分の入善(にゅうぜん)駅へ。さらに海側へ車を走らせて約10分。
黒部川によってつくられた扇状地の端に、地下水が湧き出る沢があります。昔からスギが多く繁殖していたため、人々はその場所を杉沢と呼び、そこに生えているスギは沢スギと呼ばれていました。
かつて約130ヘクタールあったという杉沢は、現在ではそのほとんどが水田へと姿を変えました。しかし、貴重な杉沢を守ろうとする人々の活動により、2.67ヘクタールの杉沢が保護され、1973年(昭和48年)には全国でも珍しい平地の湧水地に生育する自然林として国の天然記念物に指定されました。
美しい水辺に生育する杉沢の沢スギは、縦だけではなく横にも幹が伸びているものがあるのが特徴です。これは「伏条更新」とよばれる、木の根元から成長した枝が雪の重みなどで倒れ、地に着いた部分から根が出て新しい株に成長する現象です。通常は高山でみられるこの現象が平地で観察できるのは珍しく、国内では杉沢の沢スギだけだそうです。
杉沢は湧水や地下水の影響で年間を通じて水温の差が少なく、冬でも暖かいため、暖地性の植物が数多く生育しています。また黒部川の氾濫で運ばれてきた山地性の植物も見られることから、暖地性と山地性の植物の混在する全国的に珍しい場所です。
4月末頃には1つの花に100枚以上の花びらを付ける「入善乙女キクザクラ」も見頃を迎えます。近くまでいらっしゃったときは、ぜひマイナスイオンたっぷりの杉沢の沢スギへ足を運び、木漏れ日射すスギ林の中、鳥のさえずりや、風の音に耳を澄ましてみてください。
富山 syn スタッフ
杉沢の沢スギ・沢スギ自然館
0765-72-1710
富山県下新川郡入善町吉原950番地
あいの風とやま鉄道入善駅から車で10分
https://www.town.nyuzen.toyama.jp/gyosei/soshiki/kyoiku_iinkai/2/2/1355.html