《季節のほうじ茶》

6月「つゆひかり」

2023年6月1日公開

丸八製茶場が毎月数量限定で発売している「季節のほうじ茶」は、
さまざまな品種の茶葉を、その個性が生きる焙煎で仕上げた焙じ茶です。

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雨の季節にぴったりの、
しっとりとした旨味。

6月の「季節のほうじ茶」は、お茶どころ静岡県で生まれた品種「つゆひかり」を使った焙じ茶です。名前のイメージ通り、「艶やか」「シルクのような滑らかさ」と形容される旨味を持つお茶に仕上がりました。飲み物であるお茶の味を例えるのに「しっとり」「艶やか」のような湿度を感じる表現を用いるのは、少し珍しいかもしれません。ぜひ、この上品な旨味を実際に味わい、そのみずみずしさを実感してみてください。

生産者は、静岡県で20種類以上の個性的な品種の栽培をされている「豊好園」の片平次郎さんです。若手の生産者として、日本茶の新しい可能性を探る一方で、昔ながらのお茶の旨味を愛する片平さん。今回も、「つゆひかり」のしっかりとした旨味をつくり出してくれました。

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「つゆひかり」は、温かくいれるのがお勧めです。しっかりと上品な旨味を楽しんでください。

片平さんの茶畑は、静岡県の山間部にあります。温暖な気候といわれる静岡県ですが、山は昼夜の気温差が大きく、おいしいお茶を育てるのに適した環境です。高低差のある山を移動しながらチャの樹の世話をするのは手間も時間もかかる仕事ですが、片平さんはそれを楽しみながらお茶づくりをしています。

「つゆひかり」を飲みながら読みたい、
不思議な雨のお話。

「季節のほうじ茶」をご紹介するこの記事では、その味わいから連想される本をご紹介しています。今月の本は、SF作家 星新一さんによる短編「涙の雨」(『ひとにぎりの未来』収録)です。

「涙の雨」は、とあるきっかけから日本で涙を流すことが大流行するお話です。人々はみなお互いの悲しい話に共感し合い、涙を流します。

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星新一「涙の雨」『ひとにぎりの未来』新潮社。1968年当時に書かれた未来社会は、今読んでも新鮮です。

道端で会話をすれば涙、テレビを見ては涙、国会中継でも涙。やがて日本はたくさんの涙が生んだ霧に覆われ、視界不良のため、飛行機が飛ぶことも難しくなります。涙は水蒸気となって雲をつくり、その雲からは涙の雨が降り注ぎます。

悲しい印象のタイトルですが、「涙」が思わぬ展開をもたらす場面もあり、涙にむせぶ人々を客観的に眺める主人公の視点もあり、しっとりとした雰囲気の中で、少し考えさせられる、不思議な物語です。

梅雨の6月の焙じ茶「つゆひかり」。その味わいは、青葉に滴る雨の雫をイメージしています。憂鬱な印象のある梅雨ですが、しっとりとした空気や雨にまつわる風物に、ふと心を動かされることも多いもの。「つゆひかり」を傍らに、20世紀に描かれた「未来」の、想像力あふれる雨のお話で、新しい雨の楽しみ方を見つけてみませんか。

*「つゆひかり」は2023年6月1日より発売です
*2023年6月の期間・数量限定商品です。
 限定数に達した場合は販売終了とさせていただきます