煎茶のこと。
2021年7月30日公開
今年も全国の茶園から新茶が届き、
丸八製茶場の煎茶も新茶に切り替わりました。
それぞれの煎茶について、収穫の時期の茶園の様子を交えてご紹介します。
1863年の創業以来、丸八製茶場は品質にこだわった煎茶をつくり続けています。今年も「一番摘み煎茶 大隅 三体堂(おおすみ さんたいどう)」・「一番摘み煎茶 駿河 内匠(するが たくみ)」・「一番摘み煎茶 土佐 東津野(とさ ひがしつの)」が新茶になりました。今回は、その3つの煎茶について、それぞれの茶園の様子と共にご紹介します。
鹿児島の太陽の光を浴びた
丸みのある味わい。大隅 三体堂。
「一番摘み煎茶 大隅 三体堂」は、鹿児島県にある福満製茶工場の茶園でつくられたお茶です。
日本茶といえば静岡というイメージを持たれている方が多いのですが、実は鹿児島県は荒茶生産量で静岡県と首位を争う地域。そんな鹿児島県の、鹿児島空港のある霧島市に、福満製茶工場はあります。
福満製茶工場の茶園は霧島山麓にあるのですが、海抜約400mと、山麓といってもかなり高い土地の茶園です。日本茶の香りは昼夜の寒暖差、霧などによって育まれるといわれており、山などの高度が高い土地はその条件が整いやすいのです。
お茶の栄養となる肥料は、イカの内臓を使ったものを使用されているとのこと。動物性肥料はお茶に魚の出汁のような旨味を与えるというお話もあります。そういった視点で味わっていただくのも、一つの楽しみ方かもしれません。
生産者の福満淳一さんは以前から有機栽培にも力を入れられており、「一番摘み煎茶 大隅 三体堂」は100%有機栽培です。
純粋な香りと、力強い味わい。
静岡の山のお茶、駿河 内匠。
「一番摘み煎茶 駿河 内匠」は、静岡県のお茶です。
日本茶はもともと「合組」、つまりブレンドされたお茶が主流でした。そんな中、コーヒーの「シングルオリジン」のように、ブレンドせず、単一品種の味にこだわったお茶づくりをされているのが、「一番摘み煎茶 駿河 内匠」の生産者の小杉佳輝(よしき)さんです。
内匠地区の茶園のお茶も、海抜400mのところでつくられる山のお茶です。お茶づくりのため、山を切り拓くところからはじめられたといいます。よい茶葉をつくるため、地の力を大切に、肥料は菜種粕、米糠、魚粕、骨粉などを配合した有機肥料です。
「一番摘み煎茶 駿河 内匠」は、「やぶきた」のシングルオリジン。煎茶として仕立てると、針のような姿、黒光りしてつやを持った外観になります。そんな茶葉の姿も、楽しみにしてください。
親しみやすい味わいと、爽やかな香り。
高知のお茶、土佐 東津野。
「一番摘み煎茶 土佐 東津野」は、江戸時代からお茶をつくっていたという、高知県の津野町でつくられています。
400m級の山々に、朝は霧が立ち込めます。冬には雪が積もるというお茶に必要な寒暖差が大きい気候、日本三大清流の一つといわれる四万十川のきれいな水と、爽やかで優美な香りをつくってくれる環境に恵まれています。
「一番摘み煎茶 土佐 東津野」は複数のお茶の農家さんから仕入れた茶葉を使用していますが、どの茶園もきれいに手入れが行き届き、それぞれでおいしさにこだわられていて、見学にうかがうとお茶談義に花が咲きます。
そんな様子も思い浮かべながら、特徴ある味と香りを楽しんでください。