煎茶 三体堂のこと。

2022年9月16日公開

丸八製茶場の「一番摘み煎茶 大隅 三体堂(さんたいどう)」は、
鹿児島県の霧島山麓に広がる茶園でつくられた、有機栽培のお茶です。

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鹿児島の太陽と土に大切に育てられた
優しく、まろやかな味わいのお茶。

丸八製茶場の煎茶は、生産者とお茶に対するビジョンを交わしながらつくられたものです。今回は「一番摘み煎茶 大隅 三体堂」について、生産者の福満(ふくみつ)淳一さんにお話をうかがいました。

福満さんの茶園がある鹿児島県霧島市は、鹿児島湾に面して桜島と対峙する温暖な場所。市の北東、霧島山麓に広がる斜面は昼夜の寒暖差を生かした茶の栽培が盛んで、「大隅 三体堂」もこの地域で育ちます。

「鹿児島といえども、ここは冬になれば雪が降るような場所。けれども桜と似て、チャの樹も厳しい冬を越えた方が美しい芽を出すんですよ」。その新芽に南国のうららかな陽光が降り注ぐことで、優しくまろやかな味わいの「大隅 三体堂」が生まれると、福満さんはいいます。

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丸八製茶場の「一番摘み煎茶」のシリーズの一つである「大隅 三体堂」。湯温80ºCでしっかり90秒浸出すると、ほどよい渋味と旨味が引き出されます。

そんな福満さんと丸八製茶場との出会いは、30年以上前のこと。丸八製茶場が生産者と共に日本茶を探究する場として開いていた「三郷会(みさとかい)」で、当時の五代目社長 丸谷誠一郎と会したのがきっかけです。ふたりを繋いだのは、静岡県の本山茶(ほんやまちゃ)「東頭(とうべっとう)」で知られる、今は亡き茶師 築地勝美さんでした(ちなみに「三郷会」の「三郷」とは、静岡・鹿児島・石川を指します)。

「それを機に、丸八さんとの荒茶の取引が始まります。今は生産者が販売まで行う六次産業化などもありますが、私は昔からその考えはないんです。消費者とつながるプロがいて、そのプロから『あなたのお茶が欲しい』と言われる生産のプロがいる、持ち場持ち場で対等でありたいんです。『本当に自分たちの納得した商品しか市場に出さない』という丸八さんの社風があって、そこを私たちも信頼できる。お互い欠けてはならない、対等な関係と気持ちがあるから今も長く付き合いが続いているんです」と福満さんは話します。

「大隅 三体堂」の新茶が育つ霧島市牧園町三体堂エリアには、「黒(くろ)ボク土」の肥沃な土壌が広がります。桜島が吐き出す火山灰の上に植物が茂っては枯れ、やがて分解されて腐植に。これが長い時間をかけて繰り返されることで、土壌は有機物が多く植物が育ちやすい層になります。

「この土壌を生かして、『大隅 三体堂』は有機で栽培しています。化学肥料は使わず、農薬も極力使わないお茶づくりは、害虫との戦いの連続ですが、将来を見据えてこれからも努力を続けていきたいと思っています」。福満さんのお茶づくりは、これからも挑戦が続きます。

話すことができないチャの樹が
どうしてほしいか、を考える。

有機栽培であってもなくても、お茶づくりでもっとも大切なことは、チャの樹の「心の声」に耳を傾けること、と福満さんはいいます。

「母親が幼い子どもの顔や肌の色から身体の不調を察知するように、チャの樹に関しても、色艶や手触りからSOSを読み取らねばなりません。また一方で、病気や害虫、気温の変化にビクともしない樹もあります。人間が多種多様であるように、茶の世界も実にバラエティ豊か。その樹その樹の特徴に合わせて、長く付き合っていくことが大切です」

特に新茶のシーズンである晩春から初夏にかけては、寸暇を惜しんでチャの樹と向き合う福満さん。中でも眠れないくらい多忙を極めるのは、4月の遅霜の時期だといいます。「晴れた日の翌朝は、特に注意が必要です。放射冷却で起こる強烈な霜で、あっという間に新芽がダメになってしまうからです。被害を防ぐべく、地上5mの場所から防霜ファンで暖かな空気を送って、凍結を防ぎます」。

春先の寒気団の影響は約5日に及ぶため、この間ほとんど眠れないという福満さん。スマートフォンの天気アプリをこまめにチェックして、さらに先の寒気団の動きも読むなど、とにかくこの時期は防霜のために東奔西走します。

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「大隅 三体堂」の茶畑に設置された防霜ファン。「防霜ファンのメンテナンスでは、必ず部品を一度取り外し、交換をして動きをチェックします。いざという時に動かないと、お茶がダメになってしまいますから」と、福満さんはいいます。

そして迎える八十八夜。福満さん曰く「新芽を手で触って、ビロード(ベルベット)のようなすべすべの質感があれば、摘採のタイミング」だそうです。「これだけ技術が発達しても、茶摘みにおいては手が最高のセンサー。それは荒茶に仕上げるときも同じで、蒸した茶葉を揉む際はなめらかなシルクのような手触りを感じたら頃合いです。昔の人はこの絹のような感触を『若い女性の肌のよう』と例えたといいます。温度もちょうど36度くらい、人肌の温かさを感じたら、茶葉を揉む作業は完了です」。

この後、茶葉は乾燥にかけられ、荒茶として出荷されます。「何でもそうですけど、適期に適期のことをする。年によって違う適期は、見極めないといけないんです。そして、生産者はどんなものが求められているのかも考える。その上で、あの畑はいつ頃に摘み取って届けてみようか。とコントロールしていくんです」。

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茶摘みの時期を迎えた新芽。福満さんはひとつひとつに手を当て、摘み時を察知します。

「『お茶を作っています』なんて、偉そうなことはいえません。私はただ、チャの樹が自ずと成長するのを手伝っているだけです」。どこまでも謙虚に、お茶づくりと向き合う福満さん。話すことができないチャの樹がどうしてほしいか――。その声に真摯に応えようとする福満さんの仕事があるからこそ、「大隅 三体堂」のおいしさが、まっすぐに飲み手に伝わってきます。

良質な茶の香りを贅沢に。
気軽に煎茶を楽しめるティーバッグ。

鹿児島県・霧島山麓にある茶園「大隅 三体堂」の一番摘み煎茶は、太陽が近くに感じられるような気候と風土、テロワールまでも感じられる煎茶です。この「大隅 三体堂」のティーバッグが、今秋登場します。マグカップでも気軽に楽しめるようになりました。

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旨味が引き立つ水出しも、ティーバッグなら手軽に楽しめます。

まろやかでやさしい味わいの「大隅 三体堂」のティーバッグが登場し、丸八製茶場のティーバッグの楽しみがまた一つ増えました。ぜひこの機会に「一番摘み煎茶 駿河 内匠」と飲み比べて、丸八製茶場の煎茶のさらなる魅力に触れてみてください。

三体堂 ティーバッグ

三体堂 ティーバッグ