研ぎ澄ます、noma
2023年1月16日公開
くらしを楽しむことは、旬を楽しむこと。
焙じ茶のさまざまな旬を、丸八製茶場からご紹介します。
今回は、2023年1月21日発売の「焙茶noma(ノマ)」についてです。
静かに芽吹きを待つ季節に、
心と体を研ぎ澄ます、noma。
寒さにも慣れ、清冽な朝の空気が心地よく感じられる季節。新しい年を迎え、春へ向かって一歩一歩進んでいくような毎日を健やかに過ごすために、清々しく香る焙じ茶はいかがでしょうか。
「焙茶noma(ノマ)」の「noma」という名前には、人と時間との「間(マ)」を豊かにしたいという想いが込められています。今季の「焙茶noma」は、寒さに閉じ込められた冬の中で深化する時間に、心を鎮め、体を温めてくれる焙じ茶です。
「焙茶noma」は、いくつかの品種をブレンドしてつくられています。メインの「みねかおり」と「みやまかおり」は、どちらもほくほくとした穀物のような甘みのある味と香り。そこに、「やまなみ」のメンソール感がほどよいアクセントを加えています。いずれも農薬は使われておらず、丁寧に育てられた茶葉からは、力強い味わいが感じられます。
今季の「焙茶noma」の味わいのヒントになったのは、日本で千年以上にわたり使われてきた「七十二候(しちじゅうにこう)」という季節の名前の一つです。「七十二候」は、1年を72に分けて表現しますが、その70番目に「款冬華(ふきのはなさく)」という季節があります。現代の暦では1月の20日から24日頃とされるこの時期、雪解けを待たずに顔を出す春の使者、フキノトウは、凍てつく地の下で進む春の支度の象徴です。「焙茶noma」のほのかな苦味は、春に向けて体を整える、フキノトウの苦味を表現しています。
一日の時間帯の中でも太陽の力を最も感じることができる冬の昼下がり、日の光を楽しみながら、体をほっと温めるひとときのお供に。また、ほのかな苦味の中にかすかにスッとするメンソール感が心地よい「焙茶noma」は、シャキッと気分をリフレッシュしたい時にもおすすめです。
炒りを重ねてつくり出す
奥深い風味。
釜炒りの茶葉を使用している今季の「焙茶noma」。釜炒りとは、茶葉の発酵を止めるため、熱を加える際に、釜で炒る製法のことです。中国から伝わったこの製法を現在日本で用いている茶農家は少なく、釜炒りの茶葉は希少です。
釜炒りで仕上げた茶葉には、「釜香(かまか)」と呼ばれる芳ばしい香りとすっきりした味わいがあり、それが釜炒りのお茶の個性になっています。そのまま飲んでもおいしいこの茶葉を、今回はさらに焙煎し、焙じ茶に仕上げました。
焙煎後のお茶は、火を入れたことにより、さらに芳ばしさに奥行きが現れました。丸八製茶場が得意とする浅めの焙煎は、深炒りの場合とはまた違う、繊細な味わいと深みを引き出すことができます。その味わいからは、寒い日の体を温めてくれる火のパワーが感じられるようです。
「今季の『焙茶noma』の焙煎にあたって大事にしているのは、『柔らかでありつつも、しっかりした余韻のある味わい』です。日本茶は見た目の美しさも大切なため、茶葉全体のかたちが揃うように心がけています」と、「焙茶noma」を担当している焙煎士は、語ります。
釜炒り茶の「釜香」については、まだわからない部分が多いとされていますが、一説には「ピラジン類」という香り成分によるものと言われています。この「ピラジン類」は、茶葉を焙煎することでも生じるものです。「釜香」と焙煎によって生まれる香り成分に共通点があるとすれば、釜炒り茶の焙じ茶は、釜炒り茶の魅力である香りを、より奥深く味わうことのできるお茶、ということもできるのかもしれません。
清々しい味わいを、
シンプルに、健やかに楽しむ。
今季の「焙茶noma」は、清々しい味わいが特徴です。まずは温かくいれ、お茶だけで、味と香りをじっくりと味わってみてください。軽やかな甘さと豊かな焙煎香が、寒さにぎゅっと縮こまった体と心を穏やかに包み込み、深く呼吸をすれば、体の奥から整っていくような感覚が湧きあがります。
何かと組み合わせるなら、シンプルなものがお勧めです。芳ばしく、自然な風味の炒り豆や、野菜チップスなど、素材の味がいきたものがよいでしょう。
深いところから静かに、けれど確かな力が漲ってくる、味と香り。「焙茶noma」がつくり出す健やかな時間は、感覚を研ぎ澄まし、フキノトウの苦味のように、やがて来る春を迎えるためのエネルギーを整えてくれます。寒い冬を楽しみ、味わい、深めるひとときに、「焙茶noma」はいかがでしょうか。
*「焙茶noma」は2023年1月21日発売です
*季節・数量限定商品です。
限定数に達した場合は販売終了とさせていただきます