《お茶と言葉》
いろいろな焙じ茶の、言葉。
2022年10月25日公開
お茶と同じ嗜好品であるワインは、「一期一会のような味」
「猫のように気まぐれな味」のようにユニークな表現で形容されます。
「お茶と言葉」では、焙じ茶をはじめとするお茶について表現する言葉を、自由に考えてみます。
焙じ茶をはじめとする日本茶は「旨味」「渋味」などといった言葉で表現されることが多いのですが、それに比べると、ワインの味の表現は自由です。
「お茶と言葉」は、丸八製茶場の社員がお茶を飲んで感じたことを、ワインのように自由に表現してみる試みです。一般的なお茶についてよく使われる表現とは違う、ユニークな言葉が、皆様のお茶選びの際の参考になれば幸いです。
いろいろな焙じ茶の、言葉。
前回ご紹介した「献上加賀棒茶」は、お茶の茎の部分を浅く焙煎した焙じ茶でした。
焙じ茶には、さまざまな種類があります。さらにメーカーごとにつくり方も異なるため、同じ茎の焙じ茶「棒茶」でも、丸八製茶場のものと他社様のものでは、味も香りも異なります。こちらは他社様の茎の焙じ茶「棒茶」で、焙煎の段階で出る焙じ粉がブレンドされた焙じ茶を飲んで集まった言葉です。
「ALWAYS 三丁目の夕日」「冬のおじいちゃんの家の縁側」など、懐かしさを感じる表現が目立ちます。「カラスが鳴くころ、日暮れ」「焚火を見ながら庭で父とおしゃべりする小学生のころの夕方」など、一日の終わり、日が傾く時間帯が共通したイメージとしてあるようです。
「田舎の畳のようなひなびた味わい」「雨に打たれた藁の香り」など、香りについては、素朴で親しみやすい言葉が集まりました。
「熱帯夜につける冷却ジェルシート」は、少し異色の表現です。熱々の焙じ茶を口に含んだ後、ほのかに感じた清涼感から連想したとのこと。焙じ茶の温度と味の組み合わせから、こんなイメージがわくのは驚きです。
「献上加賀棒茶」と同じ茎の焙じ茶でしたが、焙じ粉を使っているからでしょうか。お茶自体は比較的色や味が浸出しやすく、言葉は親しみやすく懐かしい、どこかほっとするものが集まりました。
石川県では広く親しまれている茎の焙じ茶「棒茶」。しかし、全国的に焙じ茶といえば、お茶の葉の部分を焙煎したものが一般的です。
次に、葉の焙じ茶である、丸八製茶場「加賀ほうじ茶」の言葉を考えてみました。
わくわくした気分を感じさせる、「休日のスクランブル交差点」「空が晴れるようなスッキリ感」「旅行で立ち寄った神社でお参りした気分」といった表現が並びます。「神社」や「神聖な感じ」といったものは、「加賀ほうじ茶」の、滋味深く、品格ある味わいからの連想かもしれません。
「薬草のよう」「縁の下の力持ち」という言葉からは、「加賀ほうじ茶」を飲むことで心や体が癒され、力が満たされていくようなイメージが伝わってきます。華やかな主役、という訳ではないけれど、そばにいてくれるとうれしい、そんなお茶の存在感が感じられます。
「しょうゆあめ」をご存知の方はどれくらいいらっしゃるでしょうか。しょうゆを隠し味にした昔ながらのあめの懐かしい味を、「加賀ほうじ茶」のほっとする香りで思い出した表現なのでしょう。
最もユニークだったのは「玉置浩二さんの『田園』」。子どもの頃から知っている歌だけれど、大人になってふとした折に改めてそのよさを感じる、そんな玉置浩二さんの歌の魅力が、「加賀ほうじ茶」の広がりある味わいを物語っているようです。
一般的に焙じ茶は、煎茶などを焙煎したお茶です。焙煎することでお茶の苦味成分が減り、飲みやすくなるため、緊張感のある場よりも、おじいちゃんやおばあちゃんと一緒に縁側で飲むような、ほっとする飲み物として連動されるのは、自然なことかもしれません。
今回ご紹介した「加賀ほうじ茶」は、やわらかな一番摘みの茶葉を浅炒りでふっくらと焙じたお茶。茶葉そのものが持つ旨味をいかした品格ある味わいの焙じ茶です。
◆「加賀ほうじ茶」についての他の記事
葉の焙じ茶、茎の焙じ茶。
https://www.kagaboucha.co.jp/cat3/single.php?id=12
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