丸八製茶場の人

Kさん

2022年3月7日公開

丸八製茶場のお茶は、丸八製茶場の人がつくっています。
丸八製茶場は、丸八製茶場の人でできています。

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Kさん金沢スタッフ

Kさんは石川県鳳珠(ほうす)郡穴水(あなみず)町出身。ソーシャルワーカーとして病院に勤務していましたが、「昔から興味があった観光地での仕事をしたい」という思いから転職、現在は「一笑」の店長を勤めながら、金沢スタッフとして「金沢百番街店」のスタッフも兼務しています。好きな丸八製茶場のお茶は「深炒り焙茶BOTTO!」。趣味は食べ歩き。おいしいものがあると知ると、ドライブがてら県内どこへでも足を運んでいます。

お客様とのコミュニケーションが
日々の喜び。

「自分がおすすめしたお茶を、お客様が『おいしい』と言ってくださるのが、この仕事のうれしい瞬間です」と語るKさん。

「一笑」の朝は、お店の掃除からはじまります。「一笑」は12時オープンのため、午前中は水出しのお茶やお菓子の準備を行い、早めの昼食をとってから、お店を開けます。

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町屋を改装した「一笑」の店内。お客様が落ち着いて焙じ茶を楽しめる場は、内装だけでなく、丁寧な接客から生まれます。

ひがし茶屋街にある「一笑」は、この場所を訪れるために金沢へやってくるという人がいるほど、ファンの多いお店です。お客様の体験をつくるのは、やはりスタッフの力。「接客のやりがいも、大きいですね」。

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「一笑」のカウンター席からは、スタッフがお茶をいれる様子を見ることができます。数秒で味が変わる焙じ茶をいれる作業には、緊張感が漂います。

今では店長としてお店を取り仕切るKさんですが、「はじめてお店に立ったとき、とても心細かったのを覚えています。誰かそばにいて!という気持ちで」と笑います。
「入社前は、お茶については『献上加賀棒茶』のことを知っていた程度でした。焙じ茶については研修できめ細かく教えていただいたのですが、お茶のいれ方や接客は現場で先輩から学びました。その丁寧さに感動したのを覚えています」とのこと。

「一笑」に入って3か月ほどは毎日緊張していたというKさんも、今では日々の仕事を楽しんでいます。

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「一笑」で働くうちに工芸に興味を持つようになったというKさん。写真左の陶芸家スエヨシヒロさんの急須は「展示期間中、お店で使用していたのですが、とても使いやすくて、思わず購入しました」。

「『一笑』にはギャラリーがあり、そこで行われる展示については、お客様にご説明するために展示内容を勉強します。作家さんとお話をする機会も多く、地元の工芸についても学べる喜びがあります」。

社員の個性が
丸八製茶場の顔となっていく。

Kさんは、「一笑」の店長の顔のほかに、2つの顔を持っています。

ひとつは、「金沢百番街店」のスタッフとしての顔。2021年から、丸八製茶場の金沢にある2つの直営店舗では、スタッフの行き来が行われるようになりました。「金沢百番街店」は、金沢観光の後、新幹線に乗る前にお土産を探している方や、駅を訪れるついでに商品を購入される地元の方が多いお店です。
「お客様におすすめをお伝えすると、お試しいただけることが多いのが『金沢百番街店』です。その商品を気に入っていただいて、そのお客様にとっての定番のお茶になった、というお話を後々うかがうと、うれしいですね」。

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「金沢百番街店」はJR金沢駅の構内にあります。改札からすぐの場所にあるため、お土産の購入だけでなく、新幹線の中で焙じ茶を楽しみたい方が焙じ茶をテイクアウトすることも。

もうひとつは、企画スタッフとしての顔。Kさんは丸八製茶場のさまざまなお茶を使ったアレンジティーについて考える「アレンジティーチーム」のメンバーです。

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2021年の秋に直営店舗で提供されていた「焙茶noma」のミルクティー。

「丸八製茶場では、それぞれの直営店舗でアレンジティーのレシピを開発しています。その隠れた知見をまとめ、相互に利用していこうというのが『アレンジティーチーム』のテーマです」。

丸八製茶場は、定番商品である「献上加賀棒茶」でも、それぞれの店でお茶のいれ方が異なります。アレンジティーも同様で、同じ2021年の「焙茶noma(ノマ)」のミルクティーは、数種類レシピが存在します。

「よりおいしいものを目指して調整した結果なんです」とKさん。そしてこれは、それぞれの店舗の水質の違いや個性を丸八製茶場が大切にしているということでもあります。

「丸八製茶場に勤める社員のほとんどは、正社員です。それが、職務はさまざまでも、対等な立場で意見を交換できる環境のベースにあると思っています」と、Kさんは語ります。

一人の社員が、さまざまな場を体験する。それぞれの人や場の個性を大切にする。丸八製茶場の方針は、総体として独自の丸八製茶場らしさをつくり出しているのです。

社員一人ひとりの力を
引き出す、さまざまなチャンス。

「最近では、Instagramを通じたコミュニケーションについて提案して、採用されました」とお話するKさん。アイデアを出す場が丸八製茶場にはたくさんあります。

金沢の2店舗間の行き来でも、喫茶、ギャラリー、物販といったそれぞれ違った仕事に関わることによって違う視点が生まれます。「『一笑』でお茶のあてを考えた経験が『金沢百番街店』でお客様におすすめのお土産を聞かれたときに生きますし、『金沢百番街店』で金沢駅周辺のお店について知った経験が、『一笑』での接客に生きることもあります」。

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2021年秋の「焙茶noma」のミルクティーをスイーツと合わせた「一笑」のメニュー。各店舗のメニューも、スタッフのアイデアから生まれます。

焙じ茶とその楽しみ方、焙じ茶を中心とした文化ついてさまざまな角度から考えを深めていくことで社員の中に積み重ねられた知見は、やがて未来の丸八製茶場をつくっていきます。

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アイデアづくりを通して、焙じ茶についてじっくりと学ぶ時間。企画に必要なパソコンやタブレットは会社から貸与されます。

忙しい日々の中で企画作業や打合せをするKさんの傍らには、いつも焙じ茶があります。「自分でいれるのを忘れていても、いつの間にか誰かがいれてくれるんですよね」と笑顔で語るKさん。そんな人の温かさも、丸八製茶場で働く魅力のようでした。

(聞き手:阿部希葉)