《お茶と言葉》

煎茶の、言葉。

2023年5月26日公開

お茶と同じ嗜好品であるワインは、「一期一会のような味」
「猫のように気まぐれな味」のようにユニークな表現で形容されます。
「お茶と言葉」では、焙じ茶をはじめとするお茶について表現する言葉を、自由に考えてみます。

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3つの煎茶の、言葉。

焙じ茶をはじめとする日本茶は「旨味」「渋味」などといった言葉で表現されることが多いのですが、それに比べると、ワインの味の表現は自由です。

「お茶と言葉」は、丸八製茶場の社員がお茶を飲んで感じたことを、ワインのように自由に表現してみる試みです。一般的なお茶についてよく使われる表現とは違う、ユニークな言葉が、皆様のお茶選びの際の参考になれば幸いです。

前回までは、いろいろな焙じ茶について集まった言葉をご紹介しました。今回は、丸八製茶場で扱っている3種類の煎茶「一番摘み煎茶 駿河 内匠」「一番摘み煎茶 大隅 三体堂」「一番摘み煎茶 土佐 東津野」の言葉を考えました。

どのお茶の言葉か、
わかるでしょうか?

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丸八製茶場の3つの煎茶のうちの、ある煎茶を飲んで集まった言葉です。どのお茶の言葉か、わかるでしょうか。もし飲み比べたことがある方は、ぜひ考えてみてください。

「紳士的」「おじいちゃん、大黒柱」など、経験と年齢を重ねた男性をイメージした言葉が多いようです。「生け花の家元」、「紳士的」もそうですが、「一本筋が通った潔さ」という表現からは、ぴんと背筋が伸びた、端正ともいえる人像が浮かび上がってきます。

「アンティーク店。なつかしく重みのある空気感」「おじいちゃん。大黒柱。柱時計の下に座っている」という言葉からは、歴史を重ねた、どっしりとした存在感が感じられます。磨き上げられた家具は、きっと飴色のつやで輝いているのでしょう。

「さわやかな風が吹いている日。気持ちよく洗濯が干しあがったとき」「日の光があたった露草」は、春から夏にかけての季節を思い出させます。どちらも、少しの清涼感を感じる気候、という点が共通しています。

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さて、どんなお茶かイメージできましたか?お茶の違いは比較するとわかりやすいもの。言葉も比べてみることで、わかりやすくなるかもしれない、ということで、次は、もう一つの煎茶の言葉です。

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「栗、モンブラン、母のやさしさ」「お母さん。優しさの中にりんとした美しさ」。こちらの煎茶は、「お母さん」がキーワードのようです。

「柿の木がある田舎のおうち」「稲穂、秋の実り、田園風景」「家の植木にはえているもこもこした木」など、ほのぼのとした田舎がイメージされる言葉も並びます。1つ目の煎茶もそうでしたが、同じお茶が、別々の人に同じようなものを連想させるのは、とても興味深いことです。

「お月見の夜、あんころと一緒に月を眺めるとき」。もちにあんこをかぶせた「あんころもち」は、石川県の名物の一つでもあります。月見団子ではなく、あんころもちを食べる気取らないお月見は、どこか温かな時間を感じさせます。

「後ろから日の光があたる」感覚は、経験がある方も多いのではないでしょうか。秋冬の肌寒い季節の午後、低く射す日光があたり、ぽかぽかとその背中が暖かくなる、何ともいえない心地よさ。冒頭の「お母さん」に通じるものがあります。

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さて、3番目の煎茶の言葉です。

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「生クリームのような甘味」「よく炒められたアーモンドの香り」「角のないやわらかな味わい」。煎茶を飲んで、まるでお菓子についてのような表現が出てくるのは、お茶の繊細な違いを学んでいる社員ならではかもしれません。「人生が充実している」というイメージからも、このお茶は、他の2つと比べるとぎゅっと濃厚な風味が特徴なのでしょう。

「キリっと。さわやかな風がふく」「青空の下にたたずむ青年 *イケメン」は、さきほどの表現とは別の方向性ですが、煎茶らしいすっきりとした風味が感じられます。

続くのは「部屋の片づけ中、懐かしい写真を見て笑っているとき」「初夏、昔の思い出」「ちょっとした失敗を懐かしむ」といった、ノスタルジックな言葉たち。1つ目のお茶でも「懐かしい」イメージは浮かんでいましたが、違うのは「自分の過去」を懐かしんでいること。どこか切ない記憶を呼び起こす要素がある煎茶なのでしょう。どんなお茶なのか、興味が湧いてきましたね!

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では、答え合わせです。1つ目の茶葉は、
静岡県産の「駿河 内匠(するが たくみ)」でした。

1つ目の「おじいちゃん」のお茶は、「駿河 内匠」でした。

「生け花の家元」、「紳士的」もそうですが、「一本筋が通った潔さ」という言葉が表現しているように、力強く素直な味わいの「駿河 内匠」。静岡県の茶産地の中では最も古い歴史を持つ地域で「天才」といわれた茶師の技術を受け継ぐ小杉佳輝(こすぎよしき)さんがつくるお茶は、昔ながらの重厚さを感じる、贅沢な味わいです。

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茶葉が針のように細く尖っているのも「駿河 内匠」の特徴です。ぴんと背筋の伸びたお茶の姿も、楽しんでください。

「駿河 内匠」については、こちらの記事でも詳しくお読みいただけます。

「煎茶 内匠のこと。」
https://www.kagaboucha.co.jp/cat1/72

2つ目の煎茶は、
鹿児島県産の「大隅 三体堂」でした。

2つ目の「お母さん」のお茶は、「大隅 三体堂」でした!

優しく、まろやかな味わいのお茶は、正に「優しさの中にりんとした美しさ」のある「お母さん」。鹿児島の温暖な気候の中で、大切に大切に育てられたお茶です。「柿の木がある田舎のおうち」「稲穂、秋の実り、田園風景」は、まるで「大隅 三体堂」が栽培されている茶園の風景のよう。「後ろから日の光があたる」という言葉は、南国のうららかな光が、お茶から感じられたのかもしれません。

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丸八製茶場の煎茶の中で最も歴史が古い「大隅 三体堂」。土壌をいかし、無農薬栽培でつくられています。

「大隅 三体堂」については、こちらの記事でも詳しくお読みいただけます。

「煎茶 三体堂のこと。」
https://www.kagaboucha.co.jp/cat1/85

3つ目の煎茶は、
高知県産の「土佐 東津野」でした。

濃厚な味わいでありながらどこか切なさを感じる、そんな煎茶の答えは「土佐 東津野」でした。

高知県は隠れたお茶の名産地といわれています。「土佐 東津野」は、四万十川の上流に位置する四国山脈の山間でつくられたお茶。「人生が充実している」という表現のように、「バランスがよい」と評されることが多いお茶ですが、「生クリームのような甘味」のようにほんのりとした甘味を感じさせる言葉もありました。

「青空の下にたたずむ青年」「初夏、昔の思い出」など、爽やかさを感じさせる言葉は、青空を映し流れる四万十川の清らかさ、山間の豊かな緑を連想させます。

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濁りのない上品な水色(すいしょく、いれたときのお茶の色のこと)に反して、深い味わいが楽しめる「土佐 東津野」。

今回は、お茶を飲んでイメージした「言葉」を通し、丸八製茶場の煎茶をご紹介しました。

あなたがいつも飲んでいるお茶からは、どんな言葉が思い浮かびますか?ぜひ家族や友人と一緒に楽しんでみてください。

一番摘み煎茶 大隅 三体堂

一番摘み煎茶 大隅 三体堂

一番摘み煎茶 駿河 内匠

一番摘み煎茶 駿河 内匠

一番摘み煎茶 土佐 東津野

一番摘み煎茶 土佐 東津野

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